★★★★★
★☆☆☆☆・・・最悪
★★☆☆☆・・・おすすめしない
★★★☆☆・・・普通
★★★★☆・・・お気に入り
★★★★★・・・傑作
※ネタバレしているので鑑賞前の方はご注意ください
あらすじ(公式サイトより)
ソウルに暮らす12歳の少女ノラと少年ヘソン。ふたりはお互いに恋心を抱いていたが、ノラの海外移住により離れ離れになってしまう。12年後24歳になり、ニューヨークとソウルでそれぞれの人生を歩んでいたふたりは、オンラインで再会を果たし、お互いを想いながらもすれ違ってしまう。そして12年後の36歳、ノラは作家のアーサーと結婚していた。ヘソンはそのことを知りながらも、ノラに会うためにニューヨークを訪れる。24年ぶりにやっとめぐり逢えたふたりの再会の7日間。ふたりが選ぶ、運命とはーー。
記憶に残る景色がすべて美しい
鑑賞したのが1か月前なので記憶をたどりながら書く。
まず、劇半が素晴らしい。
アメリカのインディバンドGrizzly BearのDaniel RossenとChristopher Bearが担当している。
なつかしさで温かみを感じるような曲の数々。
さびしいような落ち着いたような気持ちになり、Apple Musicで何度も聞いている。
そして、ソウルとニューヨークの風景。
ニューヨークはもっと冷たい街のイメージがあったけれど、温かいイメージ。
ソウル・ライターの写真のように望遠レンズで切り取られた景色、人物。
ラストシーンでヘソンにさよならしたノラはアーサーの胸の中で泣く。
ノラとヘソンは恐らくもう二度と会わないだろう。2人の未来はなくなった。
ノラにとってヘソンを選ばないということは故郷である韓国とそこで過ごした美しい子供時代を捨てることを意味する。
彼女はニューヨークでの今の生活とアーサーを選んだ。
今は会わなくなった友人や知り合いを思い出す。小学校のころ登下校が一緒だった友人。中学・高校で話す中だったけれど今は会わない知り合い。稀に同窓会や結婚式で会う人もいて、会えば話すけれどかつてのような親密さは戻ってこない。あの人たちは今は元気だろうか。
あるいは昔の恋人、デートした女の子たち。彼女たちは今は元気だろうか。どこで何をやっているのだろう。かつて共有した親密な時間は失われてしまった。向こうも僕も変化しているので、いま会う機会があっても昔のようには話せないだろう。そもそも会う機会がないだろう。
親との関係にも同じことが言える。親に全幅の信頼を置いて、甘えられる、安心できる時間と空間がかつてはあった。朝、目を覚ますと母が僕の部屋の窓からベランダに洗濯物を干している。母は脱水した洗濯物をカゴに入れ、ベランダにかけたハンガーに干していく。
「ごはんできてるよ。時間は大丈夫?」
「うん・・・」
僕は不機嫌そうに起き上がり、階段を降りてリビングにいく。麦茶を飲んでぼうっとする。母も降りてきて、朝食の用意をする。トースト、サラダ、ソーセージ。僕は何もせず安心感の中でテレビを見る。今では僕はもう親に朝食の準備をしてもらうことに安心感を感じない。悪いなと思って自分も手伝う。自分が変わったのであの安心感は失われてしまった。それは大人になった、ということなのだろうけど、寂しさは残る。
とりとめのない感想になったが傑作だと思った。